ライティングの案件に応募しようとして、実績を書く欄で止まる。書いたものが1本もないので、見せられるものがない。応募する前に、その状態を自分で抜け出すための見本を1本作ります。
案件に応募するときも、サービスを出品するときも、文章を見せられれば、それが判断材料になります。実績が0件のうちは、その材料が何もありません。そこで先に用意するのが、AIライティングのサンプル記事です。依頼を受けて書いたものではなく、自分で題材を決めて書いた練習用の見本で、架空の案件を作る必要はありません。
内容は、一般的な手順としてまとめたものです。必要な本数・形式・提出方法は応募先によって違うので、募集要項やプロフィール欄の指定は、必ず自分が応募する先で確認してください。AIへの指示文の組み立て方はプロンプトの作り方の記事、書いたあとの文章を自然に直す手順はAIっぽい文章を直す記事、仕事を受けてから納品するまでの全体像はAIライティングの始め方で扱っています。
この記事でわかること
文章の形を整えるのはAIの仕事、中身を渡すのはこちらの仕事です。
- 01 完成形の見本 応募に出せるサンプルが、どんな形で出来上がるのかを先に見ます。
- 02 題材の決め方 応募したい仕事に形式を合わせ、4つの条件に○×を付けて題材を1つ選びます。
- 03 AIに渡す材料と、自分で直す範囲 読者・目的・自分が知っていること・書かないことを1枚に書き、数字と固有名詞は自分で確認します。
- 04 提出できる形に整える 練習用だと分かる一文を添え、相手が開ける状態かを自分で確かめます。
完成形を先に見てから、STEP1〜5の順に進めてください。
実績が0なら、練習用のサンプルを先に1本作る
サンプルは、依頼を受けた証拠ではありません。1本の記事で伝えられるのは、構成の立て方、説明の順序、言葉の選び方です。そこが読み取れれば見本として役目を果たします。練習用だと書いてあっても、読み取れる内容は変わりません。
サンプルには「練習用」と明記する
実在しない取引先や受注実績を作らない
やってしまいがちなのは、「◯◯社のオウンドメディア向けに執筆」のような見出しを自分で付けてしまうことです。実在する企業名を出せば、その会社と取引があるように読めてしまいます。経歴の部分で食い違いが出ると、文章の中身を読む前の話になってしまいます。
注意
本業で扱っている資料、顧客の情報、社内の数字を題材にしないでください。守秘義務の対象になっていることがあり、サンプルとして外に出した時点で取り消せません。他人が書いた記事をAIに書き換えさせて自分のサンプルにするのも避けてください。権利者の許可なく自分の制作物として出すと、問題になることがあります。
「練習用」と伝える一文を添える
サンプルの冒頭か、応募文の中に、次のような説明を添えます。これがあると、実績ではなく練習用のサンプルだと先に伝えられます。
【サンプル記事について】
この記事は、依頼を受けて書いたものではありません。
執筆の手順と文章の方向性をお伝えするために、題材を自分で決めて書いた練習用のサンプルです。
想定読者:(どの段階で止まっている人に向けたか)
記事の目的:(読んだあと何ができる状態になるか)
文字数:(おおよその文字数)
作成の流れ:構成を決めてから本文を書き、事実と数字は確認できた範囲だけを書きました。
「作成の流れ」を1行入れておくと、丸ごと生成したものをそのまま出していないことが伝わります。AIを使ったことをどう書くかは、STEP5で扱います。
完成形はこのくらいでOK
作り方の前に、出来上がりを見ておきます。応募に出せるサンプルは、次のくらいの情報が揃っていれば足ります。
タイトル:
初心者向け|家計簿アプリを選ぶ前に決めておきたい3つのこと
想定読者:
家計簿を始めたいが、アプリが多くて選べない人
目的:
自分に必要な機能を整理してから、アプリを比較できる状態にする
構成:
H2 家計簿アプリを選ぶ前に決めること
H2 費目はいくつにするか
H2 手入力と自動連携のどちらを使うか
H2 1週間試してから判断する
H2 まとめ
文字数:
約2,000字
注記:
自主制作した練習用のサンプルです。
文字数の行は、この題材をこの構成で書いた場合の例です。長さの基準ではありません。構成が追えること、想定読者と目的が書いてあること、練習用だと分かること。この3つが揃っていれば、応募の材料として出せます。
ここから先が作り方です。題材を決め、材料を書き、下書きを作り、自分で直して、提出できる形に整えます。
STEP1 題材を決める
応募したい仕事に、サンプルの形式を合わせる
ブログ記事の案件に応募するのにSNS投稿文のサンプルを出すと、見てもらいたい部分(構成の立て方)が伝わりません。応募先の仕事の形に寄せます。
| 応募したい仕事 | 用意するサンプルの形 | サンプルで伝わること |
|---|---|---|
| ブログ記事の執筆 | 見出しのある記事を1本 | 構成の立て方、読みやすさ |
| SNS投稿文の作成 | 同じ内容の投稿文を数パターン | 短くまとめる力、語調の切り替え |
| 商品・サービスの説明文 | 説明文を1本(特徴→使う場面→注意点) | 事実と誇張の区別 |
| リライト・文章整理 | 修正前と修正後を並べたもの | どこを直したかの判断 |
SNS投稿文を選んだ場合は、テーマの決め方から投稿前の確認までをChatGPTでSNS投稿文を作る手順に書いているので、そのまま進められます。
自分が材料を持っている題材から選ぶ
AIは一般的な説明を組み立てられますが、あなたが何を知っているかは知りません。材料が無い題材を選ぶと、どの応募先にも出せる代わりに、誰の見本にもならない文章になります。
候補を2〜3個書き出して、次の4つに○×を付けてください。○が多いものを選びます。
- 自分で実際にやった経験がある
- 手順を最初から最後まで説明できる
- どこでつまずくかを書ける
- 必要な事実を、公式ページや説明書で確認できる
この4つで探すと、題材は身近なところにあります。自分が使っているアプリの初期設定、家電や道具の選び方、よく行く手続きの流れ、続けている趣味の始め方。どれも「調べた人なら書ける」内容ですが、つまずく場所まで書けるのは実際にやった人だけです。
必要な本数と文字数は、応募先の指定を先に読む
本数や文字数は、応募先によって違います。募集要項やプロフィールの入力欄に指定があれば、それに合わせてください。字数の上限、提出できるファイル形式、URLで渡せるかどうかも、そこに書かれていることがあります。
指定が見当たらないときは、本数を増やすより、1本を読み通せる形に仕上げることを優先します。判断の材料になるのは、さきほどの完成形に並んだ3つです。
補足
応募先から題材や条件を指定されたときは、自分で題材を選ばず、その指定に従ってください。この記事で作るサンプルは、応募する前に自分から見せるためのものです。指定を受けて書くものとは、目的が別になります。
STEP2 AIに渡す材料を書く
題材が決まったら、AIに渡す材料をメモにします。指示文の書式そのものはAIライティングのプロンプトの作り方で扱っているので、ここでは中身、つまり「何を渡すか」を決めます。
題材:
読者:(どの段階で止まっている人か)
読者が読んだあとにできること:
自分が知っていること:
・手順(番号を振って書き出す)
・つまずいた箇所と、そのときどうしたか
・具体的な数字や名称(出どころを言えるものだけ)
書かないこと:
・確認できていない数字、料金、制度
・自分がやっていないこと
参考にする情報:(URLと確認した日)
埋まらない欄があってもそのまま進めて構いません。空欄は「まだ決まっていない場所」として残します。埋まったふりをして書かせるより、空のほうが安全です。料金・制度・法律に関わることは、公式の情報で確認できた範囲だけを上に書き、確認できないものは「書かないこと」へ移します。
材料が空のまま書かせると何が起きるか
読者も目的も渡していないと、AIはその空欄を一般的な内容で埋めます。文章としては整っているのに、どのサイトにも置ける説明が続く状態です。どこを自分で考えたのかが読んでも分からないので、見本としてはいちばん弱い形になります。
防ぎ方は、材料メモの「自分が知っていること」を先に埋めることです。手順を番号で5つ書き出すだけでも、下書きの中身は変わります。文章の形を整えるのはAIの仕事で、中身を渡すのはこちらの仕事です。ここを分けて考えると、どこまで任せるかで迷わなくなります。
STEP3 下書きを作る
材料メモができたら、それを指示文に貼って下書きを作らせます。1回で完成させようとせず、まず構成だけ出します。構成が自分の考えた順番と違っていたら、本文に進む前に直します。
指示文の形で迷ったら、誰に・何を・読後のゴール・使ってよい情報・やってほしくないことの5項目に戻ってください。渡す材料が同じでも、この5つのどれが抜けているかで、返ってくる文章は変わります。
出てきた下書きは、そのまま出せるものとして扱いません。次のSTEPで、自分が直す範囲を決めます。
STEP4 自分で直す
ここがサンプルの中心です。差が出るのはAIが書いた部分ではなく、自分が直した部分です。どこをなぜ直したかを言えるようにしておくと、聞かれたときにそのまま答えられます。
必ず自分で確認する3つ
- 数字と事実:出どころを言えない数字は消すか、確認してから書き直します。下書きに入っていた数字が、自分が渡していないものなら必ず確かめます
- 固有名詞と日付:サービス名の表記、機能の名前、日付。表記ゆれも直します
- 断定の強さ:「必ず」「誰でも」のような言い方が、根拠より強くなっていないかを見ます。言い切れないものは、消すか、条件と出どころを書きます。根拠がないまま「〜という場合があります」に弱めるだけにしません
この3つは、読み返す回数を増やしても見つかりにくい部分です。先に「数字だけを見る」「固有名詞だけを見る」と決めて、1周ずつ読みます。
抽象的な文を、作業が分かる文に替える
下書きでいちばん多く残るのは、「〜が大切です」「〜を意識しましょう」で終わっている文です。読んだ人が次に何をすればいいか分かりません。さきほどの完成形と同じ題材で、直す前と直したあとを並べます。
修正前(AIの下書き)
家計簿アプリを選ぶときは、自分に合ったものを選ぶことが大切です。続けやすさを意識しましょう。最近はさまざまなアプリがあり、機能も充実しています。無理のない範囲で記録を続けていくことが、家計の見直しにつながります。
修正後(手を入れたもの)
家計簿アプリは、アプリを比べる前に「何を記録しないか」を決めます。費目を細かく分けるほど、入力する項目と確認する画面が増えます。
最初は、食費・固定費・その他の3つだけにします。この3つで1週間入力してみて、続いたら費目を増やします。
アプリを選ぶのは、費目を決めたあとです。決めた3つの費目を1画面で入力できるか、レシートの撮影が要るかどうかを見ます。
変えたのは2つです。1つは、「大切です」で終わっていた文を、読者が決める対象(費目を3つに絞る)に替えたこと。もう1つは順番で、修正前は「アプリを選ぶ」話から始まっていましたが、先に決めることがあるならその順に並べ替えます。文の数は増えていますが、足したのは具体的な手順だけです。
言い回しそのものが残っていて、どうしてもAIっぽさが抜けないときは、AIっぽい文章を自然に直す方法の手順を当ててください。同じ意味の繰り返しを削る、語尾の形を変える、といった作業を1つずつ扱っています。
直した痕跡を、見える形で残す
リライトや文章整理の仕事に応募するなら、修正前と修正後を並べたものがそのままサンプルになります。記事執筆に応募する場合も、1か所だけ「下書きのこの文をこう直した」という例を添えておくと、自分が判断した部分を示せます。並べるときは文章を省略せず、「修正前」「修正後」の文字を必ず書きます。
STEP5 応募できる形にする
書き終えたら、相手が読める状態にします。応募先の画面を開いて、次の3つを確認してください。
- 作ったものを見せられる欄があるか(応募文の中に貼るのか、別の欄があるのか)
- 渡し方はファイルかURLか。使えるファイル形式に指定があるか
- 字数や枚数の上限があるか
確認した欄の形に合わせて整えます。応募文の中に直接貼る形なら、見出しと本文だけの短い構成にしておくと、画面の中で読み通せます。URLで渡す場合は、ログインしていないブラウザとスマートフォンで開いて確かめます。共有の設定によっては、相手の画面では開けません。
置き場所は、自分で管理できるところを選びます。どの置き場所でも、練習用だと分かる一文は本文の中に入れておいてください。URLだけが相手に届いた場合でも伝わるようにするためです。
AIの使用について、応募先のルールを読む
募集要項と、出品先のルールのページを先に読んでください。AIの使用について書かれていれば、それに従います。使用の可否、書くときの条件、記載が必要かどうかは、応募先ごとに違います。読んでも判断できないときは、応募の連絡のときに質問として書きます。
サンプルにAIを使ったことを添えるかどうかも、このルールに合わせて決めます。添えるなら、「練習用」と伝える一文に入れた「作成の流れ」が、そのまま使えます。
提出前チェック
出す前に、ここを1つずつ見てください。
- 練習用のサンプルだと分かる一文が、本文の中に入っている
- 実在の企業から受注したように読める書き方になっていない
- 数字と固有名詞の出どころを自分で言える。確認できていないことを断定していない
- 守秘義務のある情報、他人が書いた文章が入っていない
- 応募先の指定した形式・字数に収まっていて、相手の環境で開ける
- 添える説明に書いた想定読者・記事の目的が、本文の内容と一致している
最後の項目は見落としやすいところです。書いているうちに記事の方向が変わると、添える説明だけが最初のまま残ります。本文を直したら、説明の側も読み直してください。
まとめ
実績が0件の段階でも、応募前に自分で用意できるものがあります。題材を自分で決めて書いた、練習用のサンプルです。
今日やることは1つだけです。題材を1つ決めて、練習用と明記したサンプルを1本だけ作ってください。文章の形を整えるのはAIの仕事で、中身を渡すのはこちら。その分担のまま、完成形に並んだ項目を埋めていけば、応募に出せる1本になります。


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